28歳の時の起業は大成功だったが…

 「儲ける仕事」から「稼ぐ仕事」へ。

 大学卒業後、僕は損害保険会社に入社し、当時一番の売上を誇っていた新宿支店所属のセールスマンになった。その時点ではいずれ必ず起業しようと心に決めていたから、「3年間限定の契約社員(最終的には5年間に延長された)」「給料は出来高払い」という条件に、内心ニンマリしながら力強くサインした。

 夜の六本木の路上で花を売るのも、新宿界隈の企業を訪ねて保険を売るのも、本質的には何ら変わるところはなかった。だから、入社後は、同期も先輩も関係なく、相手が誰でもセールスで負ける気はしなかった。すぐにトップセールスマンになり、初年度の年収はどうやら当時の社長の年収をはるかに超えていたらしい。「信頼の稼ぎかた」を身に付けた後だけに、当然の結果だと思っている。

 保険会社との契約期間が満了した年、僕は28歳になっていた。その年、保険の商品知識とセールスのノウハウを活かして保険ブローカーの会社を設立し、社長に就任した。

 やっと、念願叶っての社長業だ。より一層がむしゃらに働く毎日がはじまり、会社のソファで朝を迎えるなんてことも決して珍しくなかった。努力と収入が常識の範囲でバランスを保っていたアルバイト時代と比較すると、社会人になってからは、あまりにもアンバランスな収入を手にしていた。「努力=投資」「収入=効果」であるから、投資対効果が優れていたと結論すればよかったのだろうが、なぜか、すっきりしなかった。