GPIFは建前を捨てたように見える
日銀はどうなのか?

 投資家・株主は、売り買いすることだけで企業に影響を与える存在ではない。特に株主は、株主総会での提案や議決権行使をもって企業の行動に影響を与えることができる。

 公的機関が民間企業の経営に介入すべきではないという建前と、今や日本最大級の株主となった日銀がどのような距離感を持とうとしているのかは、興味深い問題だ。

 GPIFは、事実上この建前を捨てて、企業に対して株主として積極的に関与する方向にかじを切ったように見える。日銀はどうなのか?

 議決権行使は運用会社に任せているから、株主としての責任は果たしていると主張することには無理がある。

 最終的な年金基金や日銀のような他人のお金を預かって株式に投資している株式のオーナーは、投資先企業への議決権行使の当否を判断することに責任を持つべきだ。それが、いわゆる「スチュワードシップ・コード」の考え方だ。運用会社等の外部に運用を委託していてもこの責任は消えない。しかも、議決権行使は個々の企業に対して行われるものなので、個々のケースについて判断しなければ、委託を受けた株式オーナーとして責任を果たしているとは言えない。

 ところが、そこまで十全に責任を果たすと、公的機関が民間企業の経営に介入しないという建前とは完全に矛盾することになる。

 日銀は、実質的株主としての自らの行動を、制約しても積極化しても、もちろん現在のままでも、問題を抱えるのだ。

 だから、公的機関が民間会社の株主になる株式保有構造は「筋が悪い」。