香港の機能が薄まれば、中国企業はますますシャドーバンキング依存を強めて財務面で脆弱(ぜいじゃく)になる。

 そうなると、「ゾンビ企業の撲滅」どころか、失業者を増やさないためにゾンビ企業の温存をやらざるをえない。

 資本や人材が逃げていけば、香港は特権的な地位を失い、「アジアの金融センター」という地位は徐々に東京やシンガポールに奪われることになる。

 また、アメリカの証券市場での排除が始まっている中国企業は、さらに欧米との接点を失って内製化が進むが、同時に日米欧企業の撤退も増えて技術的にも不利になり、香港の没落とともに、中国製品の競争力も落ち込んでいくことになっていくだろう。

コロナ後遺症で
揺れる独裁体制

 中国経済は輸出に大きく依存しており、パンデミックの後遺症による世界的な不況が続くと、大きなダメージを受ける。

 現在は3兆ドルという膨大な外貨準備金があるが、輸出を増やそうと当局が人民元安を誘導すれば、資本流出が始まる可能性がある。

 そうなれば、どこかの時点から外貨準備不足が起こり、人民元に対する信用度はさらに低下する。

 その上に、香港が国際金融センターとしての地位を失えば、資本流出はさらに深刻なものになっていくはずだ。

 そのため、当局は資本流出が起きない程度に人民元安を抑えるしかない。

 だが、それでは輸出を伸ばせない。中国の製造業は過剰ともいえる供給能力を抱えているため、輸出がさらに細れば中国はデフレ不況に突入する。そうなれば、日本で1990年代中頃から始まった「失われた20年」が中国でも起こる可能性がある。

 かといって、人民元安に誘導すれば、今度はインフレと資本流出が止まらなくなる可能性がある。特に食料価格が上がれば貧困層の生活を直撃して、政府への不満がたまっていく。

 いずれにせよ、国民の反発や資本流出を抑えるためには、これまで以上に監視を強化するしかない。そうなれば、企業の快活さが奪われ企業活動を萎縮させ、企業のゾンビ化を抑えるなど不可能になってしまう。そして、不況は長引くことになる。