カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)の創業者特別顧問・宗次徳二さんと、日本最大級の美容室「EARTH(アース)」の取締役で、10万部突破の『年収1億円になる人の習慣』の著者、山下誠司さんの対談が実現しました。対談第1回目は、「早起きの効用」について、お2人に語り合っていただきました。(構成・藤吉豊、石崎彩)
(2019年9月に行われた対談をまとめさせていただきました)
お酒の付き合いを絶っても、「縁」は切れない
(株)アースホールディングス取締役
(株)サンクチュアリ代表取締役
日本最大級の240店舗を展開する美容室「EARTH(アース)」を運営する、(株)アースホールディングス取締役[スタッフ3000名、年商180億円]。うち70店舗をフランチャイズ展開する、(株)サンクチュアリ代表取締役も兼任。(株)サンクチュアリは、自社から輩出したフランチャイズ30社とともに、関東、甲信越、東海、北陸、北海道、福岡で展開[スタッフ900名、年商50億円]。
1976年、静岡県生まれ。高校卒業後に上京し、19歳で年収180万円から美容師を始め、31歳で年収1億円を超える。19歳から23歳まで、ほぼ休みなく仕事をし、24歳から39歳までは、始発から終電まで365日、15年間、1日たりとも休みなく仕事。40歳からは、仕事と遊びの壁が、完全になくなる。愛車は、フェラーリ488スパイダー。趣味は「仕事」。
山下:以前、宗次さんにお会いしたとき、「経営者は、夜のおつきあいをしている場合じゃない」「現役を退かれる53歳までは、飲み屋さんにただの一度も行かずに経営者としての仕事に邁進した」というお話をうかがって、感銘を受けたんです。「私も、経営以外のことによそ見をしてはいけない」と背筋が伸びました。
当時の私は、「お酒も仕事のうち」だと思い込んでいたのですが、宗次さんの言葉を機に、考えをあらためました。3年前にお酒をやめて以来、一切、口にしていません。
宗次:「一切、口にしていない」とは潔いですね。私は、家ではたまに飲んでいましたよ(笑)。でも、外では飲みませんでした。
仕事の能力がある人は、お酒を飲んでもいいと思います。ただ私は能力がなかったから、「能力のない人間がよそ見をしながらできるほど、経営は簡単ではない」と思って、お酒を飲まなかったんです。
物事には全部、プラスの面とマイナスの面があります。お酒にも「仕事につながる」「信頼関係が生まれる」というプラスの面があるかもしれません。けれど総合的に見ると、マイナスのほうが大きいのでは、と思います。
同じ会社の仲間や同業の仲間、社長仲間とお酒を飲む時間は楽しいものです。ですが私にとって、その時間は生産的ではなかったのです。
山下:私自身、振り返ってみると、「お酒も仕事」と言いながら、じつは、「仕事としてお酒を飲んでいたわけではなかった」と反省しています。
もともと私は、お酒があまり好きではありませんでした。でも、美容師として働きはじめてから先輩と飲みに行く機会が増えてきて、いつの間にか好きになっていたんですね。それから20数年間、ほとんど毎晩……です(笑)。
昔は、飲み会が出会いの場として機能していた気がします。お酒が最良のコミュニケーションツールだと思っていました。
けれど、時代の流れや今の自分の立ち位置を考えたら、「もしかしたら、お酒の力を借りる必要はないかもしれない」と思い直して、やめてみたんです。
すると、お酒を飲むよりもお酒を飲まないほうが、自分にとってプラスになることが多くなってきました。
宗次:それはいいことですね。お酒をやめて、どのようなプラスを得たのですか?
山下:最初は、「お酒のつき合いをやめてしまうと、商談の数も減るのではないか。取引先との関係が途切れてしまうのではないか」と不安でした。けれど蓋を開けてみれば、縁が切れた方はひとりもいなかったんです。
飲みに行かなくなった分、夜の時間ができました。帰宅後も仕事ができるので、1日の時間が2日に伸びたような感覚です。朝も気持ち良く目覚められるようになりましたから、コンディションも絶好調です。
宗次:お酒を飲まず、飲み屋さんに行かなくなったことで、まわりからも、「山下さんは生き方を変えたんだな」と評価されたのではありませんか?
中途半端ではなく、「一切、飲む機会をなくした」のがよかったと思います。なんでもそうですが、「しないなら、しない」と決意して実行をすれば、まわりがその決意を認めて、応援してくれるようになります。