「早起きをしない理由」がない理由

【宗次徳二×山下誠司】対談「早起きをしない理由」がない理由
宗次德二(むねつぐ・とくじ)
1948年石川県生まれ。愛知県立小牧高等学校卒業後、八洲開発株式会社を経て1970年大和ハウス工業株式会社に入社。1972年に結婚、翌年独立して岩倉沿線土地を開業する。1974年喫茶店「バッカス」を開店。1978年カレーハウスCoco壱番屋を創業し、妻とふたり客商売を天職と定める。1982年株式会社壱番屋設立し、代表取締役社長に就任。1998年同社代表取締役会長に、2002年には引退し、創業者特別顧問となる。2003年NPOイエロー・エンジェルを設立し、理事長に就任。2007年クラシック音楽専用の「宗次ホール」を名古屋市内にオープン。2012年株式会社ライトアップ設立し、代表就任。
著書は、『繁盛させたければお客様の声を聞け! 』(旭屋出版)、『日本一の変人経営者』(ダイヤモンド社)、『Coco壱番屋 答えはすべてお客様の声にあり』(日本経済新聞出版社)『夢を持つな!目標を持て!』(商業界)など。

宗次:山下さんの意志の強さはさすがですね。今も早起きは継続しているのですか?

山下:宗次さんほど早起きではありませんが、今も、続けています。
美容師としての経験やスキルが浅かったとき、「なんでもいいから、チャンピオンになりたい。なんでもいいから一番になりたい」と、毎日もがいていました。
そんなとき、株式会社アースホールディングスの創業者である國分利治(こくぶんとしはる)に教えてもらったのが、「早起きで一番になること」でした。24歳のときです。

半信半疑ではじめた早起きですが、朝、早く出勤するだけで見える世界が変わってきたんです。
朝の時間は日中よりも効率がいいので、成績が伸びはじめました。スタッフからもお客様からも信頼されるようになって、人生が変わるような成長を実感できました。

でも、私が勤めていた「アース銀座店」では早起きで一番になりましたが、「日本で一番の早起き経営者」には、なれそうにありません。宗次さんがいらっしゃるので。

宗次:私は毎朝、午前3時55分に起床していますから、山下さんが365日、私より早く起きることができたら、その称号をお譲りしますよ(笑)。

朝の時間も、アフターファイブの時間も、社員やお客様のために使う。経営者は経営にすべての時間と能力を注ぐべきであり、それができてはじめて会社が右肩上がりになると思います。
増収増益を続けていれば、社員さんの給料は上げられるし、教育予算も、求人費も、必要なことには遠慮なくお金をかけることができます。その結果として企業価値はどんどん上がっていく。
私の場合は、「お客様のアンケートハガキ」を読むために、必要に迫られて早起きをはじめましたが(第5回で詳述します)、10年、20年、30年と早起きを続けた結果として、「早起きをしたから今がある」と断言できます。

山下:早起きが数字につながり、数字が会社の問題を未然に防ぐ。早起きをしない理由が見当たらないですね。

第2回に続く

【宗次徳二×山下誠司】対談「早起きをしない理由」がない理由