台湾のコロナ対策で脚光を浴びたのは発達障害の「女性」だった「女子の発達障害」という問題を解決するには、本人の努力や医師の治療だけでは足りず、女性をとりまく社会そのものの変化が求められている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

多くのメディアに取り上げられて話題となった「発達障害」。特に女子の発達障害は、本人も周りも気づきにくく、近年は大人になってから発覚するケースが多いと精神科医で発達障害の専門医である岩波氏はいいます。そこで前回に続き、岩波明氏の最新刊『医者も親も気づかない 女子の発達障害』(青春出版社)から、発達障害の人に対して家庭や職場での正しい対応を解説します。

子どもに発達障害の可能性があったら「叱る」より「離れる」

 小学校低学年では、本人が発達障害について理解するのは難しいでしょう。多少なりとも認識するのは、早くても小学校高学年からだと思います。

 もし親が子供に説明するにしても、「発達障害」という言葉を使う必要はないと思います。発達「障害」という言葉のインパクトが強すぎるからです。本人も拒否反応を示し、自分が発達障害だと認めたがらないかもしれません。「あなたにはこういう特性があって、他の人とこんなふうに違うから、こんな場面ではこう気をつけたほうがいい」このように、日常のトラブルについて解決していく具体的な話し合いをするのがいいと思います。

 私がいつもご家族にアドバイスしているのは、「無理に子供の行動を直そうとしない」ことです。一度は注意することが必要です。でも、その後も問題行動が続くようなら、いったんは子供から離れるように指示します。家族との関係性を悪くしないことが、一番だからです。