豊洲問題で匂わせた
巨大利権は本当にあったのか

 いちいち例に挙げるとキリがないが、小池氏はこれまでずっとこのような戦いをしてきた。自分を叩く「敵」をうまく貶めることで、自らのブランディングに役立ててきた。

 たとえば、都知事になってすぐに小池氏は、豊洲市場の「地下ピット」を「謎の地下空間」だと大袈裟に驚いて、「盛り土」がないことや、築地市場の移転先が豊洲に決定されたことも背後にある巨大利権のせいだと匂わせた。それは、前都知事の石原慎太郎氏や「都議会のドン」である内田茂氏を「悪役」と言っているのに等しい。

 この対立の図式のお陰で、小池氏は「都政の闇を暴くジャンヌダルク」というイメージがつくられ、それが後の「都民ファースト」の大量議席獲得につながったことは言うまでもない。

 一方で、「都政の闇」とやらは今日に至るまでクリアになっておらず、今ではそんな話があったことさえ忘れ去られている。つまり結果としては、あれだけ連日連夜のように上を下へと大騒ぎした豊洲問題は、小池氏のブランディングになっただけなのである。

 そんな「前科」があるからか、今回の新型コロナ対策や東京アラートを小池氏の「選挙運動」だと揶揄している人も多い。

 確かに、「ロックダウン」「オーバーシュート」とキャッチーなワードでマスコミの話題をかっさらい、政府の休業補償に不満が集まるやいなや事業者に100万円を気前よく振る舞うというのは、最高の選挙PRといえなくもない。

 新型コロナも、実は小池氏にとって好都合だ。各国の指導者が軒並み支持率を上げているように、この手のものは「危機」を煽れば煽るほど、政治家の支持率は上がる。有権者は不安で軽いパニックになるので、煽られた「危機」ほどに事態が悪化せず、よほどのひどいミスをしない限りは、「リーダーのお陰だ」と評価をしてくれる。