自宅でバーテンダーのショーを楽しめる
VR動画を新たに展開するバー

 飲食店での楽しみといえば、食事はもちろんのこと、「非日常体験」も非常に重要な要素だ。特にバーなどでは、雰囲気を楽しみに来店する人も多いだろう。

 横浜、新宿、京都でバーレストランを運営するラッドエンターテインメントでは、3月半ば頃から徐々に来店客数が減少し、特に外国人観光客の来店が多かった京都の店舗は大きな打撃を受けた。そして4月8日からは、緊急事態宣言を受けて休業を決めた。

 その一方で、開発を進めていたのがテイクアウトだ。食事メニューを11種類、そしてカクテルセットも6種類用意して、4月20日から真空パックに詰めた形で販売を開始したという。

ラッドエンターテインメントテイクアウトラッドエンターテインメントのバー「Newjack」のテイクアウトメニュー。オリジナルラベルを貼り、パッケージもおしゃれにしている 写真提供:ラッドエンターテインメント
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「テイクアウトの包装も簡易的ではなく、“ブランド”を感じられるものにしたかった。そこで、お店オリジナルのラベルも制作して、パッケージに貼ることにした。

 さらに持ち帰りカクテルの販売は、店以外の飲用に向けて酒類を販売できる『一般酒類小売業免許』を持っていても、酒税法の『無免許製造』の規定に抵触してできない。そのため、カクテルの材料となる複数の酒類や果実などを、それぞれ別の容器に入れて、いわゆる『カクテルセット』として販売。カクテルの作り方の動画を作成し、自宅でも楽しんでもらえるように工夫している」(ラッドエンターテインメント 代表取締役社長 山本圭介氏)

 こうして持ち帰ってカクテルを飲むにしても、自宅だと味気ないと感じる人もいるだろう。そこで同社が始めたのが、VRコンテンツだ。

 実は同社は、バーテンダーがボトルやシェーカー、グラスなどを用いた曲芸的なパフォーマンスをするフレアバーテンダーの出張・派遣を行うビジネスも展開している。しかし、コロナの影響で、その受注もゼロになってしまった。

 そこで、その技を生かし、フレアバーテンダーたちが個々の顧客の要望を聞いた上で、おしゃれなバーカウンターでオリジナルのショーを行う360度動画を制作。VRゴーグルをつけてその動画を見ることで、自宅からでもフレアバーテンディングを疑似体験できるのだという。