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「対面だと人に向かって道具を投げたり、火を吹いたりすることは危なくてとてもできないが、VRや動画ではそれも可能になる。また、実際にお店では目の前で行われているショーしか見られないが、VR動画ではバーテンダーたちが360度でフレアショーを行っている。見る角度を変えることで、何度でも楽しめるのも魅力だろう」(山本氏)
同社の店舗も5月末からイートインの営業を再開したものの、4月、5月の売り上げは平時の4分の1程度に減少。そのため、広告費などはすべてカットし、今はSNSを積極的に活用して集客を行っているという。テイクアウトやVR動画の受注も、SNSを見た常連客やその知り合いからが多いという。
「今後もテイクアウトやVRなどの商品の販売はすべて続けていくつもり。今までは広告を出していたこともあり集客に力を入れていたが、これからは満席を目指して躍起になるより、ブランドを守りつつ、来てくださる方を大事に、お店のファンを増やしていきたい」(山本氏)
営業再開も予約は昨年の約半分
「おうちご飯」需要は今後も続く
緊急事態宣言の解除後、TableCheckのイートイン予約システム新規件数は、5月30日時点で1店舗あたり6.9件と、全国に緊急事態宣言が発令された直後の週末(4月18日)の1.9件と比較して、3.6倍に回復した。しかし、昨年5月の1日平均12.6件のおよそ半分にとどまっており、どの飲食店もイートインだけではまだ売り上げを維持できない状態だ。
そうした中で、同社のデータによると「イートイン予約」の回復と合わせて「テイクアウト予約」も微増となっており、感染防止を目的とした「おうちご飯」の需要は、今後も一定の水準を保つことが予想される。
非日常空間で上質なサービスを受け、出来立ての料理を食べるという飲食店の存在意義は今後も重要だが、家にいながらお店の味を楽しむのはもちろん、お店にはない味を自宅で楽しめたり、お店のサービスを追体験できたりする商品は、コロナ禍で需要が高まったことは間違いない。
半ば強制的に促されたパラダイムシフトの中で、差別化されたさまざまな商品を同時に展開するなど柔軟に対応しながら、ブランドと売り上げをいかに守れるか。これからも飲食店の奮闘が続きそうだ。