「3日で200キロ」のローストビーフを
テイクアウトで売った店も
今回のコロナ禍をきっかけに、テイクアウトやデリバリーを開始し、SNSを活用して集客を図った企業の1つが、ワンダーテーブルだ。
同社は、すき焼き・しゃぶしゃぶ専門店の「鍋ぞう」や「モーモーパラダイス」といった外国人観光客に人気の飲食店を多数展開。3月には売り上げが平時の5割にまで落ち込み、4月8日からは(店舗内での食事を前提とした)イートインの営業を全店で休止した。その一方で、4月10日からはテイクアウトとデリバリーを開始したという。
「売り上げの落ち込みが予想以上に大きくなった3月上旬から、テイクアウトの商品開発を開始。社長の秋元巳智雄が『日商3000万円だった過去は忘れ、今一度25万円から会社を作っていくんだ』と意思表明したことで、全ブランドが力を入れて開発を始め、3月中には商品ができあがった。中には自転車を購入し、スタッフ自らデリバリーしている店舗もある」(ワンダーテーブル マーケティング部部長 竹原真理子氏)
同社のブランドの中でも、特にテイクアウトで好評だったのがアメリカンスタイルのローストビーフを中心に展開する「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」。販売を開始するや否や、ローストビーフの注文が殺到し、3日間で200キログラムの牛肉を使用したという。その集客の中心となったのがSNSだ。
「テイクアウトを利用されるお客様のほとんどは常連で、各店のSNSやニュースレターなどを通じて、ご自宅でもお店の味を楽しみたい、中にはお店を応援したいから買いに来た方もいる。また、SNSによって、お客様からお客様へと口コミが広がり、現在の需要へつながっていると感じている」(竹原氏)
同社の店舗は、5月下旬以降に営業を再開しているが、席数を減らしたり、営業時間を短縮したりと、以前のような売り上げに戻るには時間がかかる見込みだ。
「イートイン営業を再開しても、引き続き、テイクアウトとデリバリーは今後のノウハウと売り上げ補完のために継続していく。当社のレストランならではの、豊かな食卓を楽しんでもらえるような商品や企画を増やして、ブランドによってはソースやスープなどの販売や、ECサイトも検討を進めていきたい」(竹原氏)