それは紛れもない警告だった。
今年1月末のことだ。米国で確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患(りかん)者はまだ6人だった。エボラ出血熱やSARS(重症急性呼吸器症候群)と闘った経験もある有力な感染症専門家が、資産運用のプロたちに警告メッセージを発した。これから事態は非常に悪化するだろう、と。
「私は新たな感染症に20年か30年ほど関わってきた」。医学研究を支援する英ウエルカム財団のジェレミー・ファラー代表は1月31日の電話会議でこう語った。「だがこれほど急速に広がり、動きが素早く、力強いものを私は見たことがない」
これに続く2月の電話会議で、同氏はロックダウン(都市封鎖)やその他の制限措置を講じなければ、新型コロナ感染拡大に関連する米国の死者が1年以内に50万~100万人に達する可能性があるとの予想を示した。