暗号化メッセージアプリの「Signal(シグナル)」が人気だ。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でインターネットを介したコミュニケーションが増え、シグナルの新規利用者はかつてない水準まで増加した。警察の暴行を巡る全米規模の抗議活動も利用に拍車をかけた。調査会社アップアニーによると、シグナルの月間ダウンロード数は5月に世界で約100万回に達した。
デモ参加者はこぞってシグナルを使用している。デモの主催者や参加者は、(表現や集会の自由を規定した)合衆国憲法修正第1条で保護されているものの、万全を期して安全なコミュニケーションを求めることが多い。万が一、法律上のトラブルに巻き込まれても、シグナルは当局に提供する情報が限定されるように設計してある。
その点がまず、プライバシーを強く求める利用者をシグナルに引きつけることになった。アプリを開発したモクシー・マーリンスパイク氏は2015年の講演で「プライバシーはかつてないほど低下し、監視はかつてないほど高まっている」と表明。シグナルはその対抗手段として開発された。