ドイツ政府は、世界最速で検査システムを拡充し、週90万件の検査が可能な体制になっています。コロナ陽性者に対しては隔離し追跡するのを徹底し、結果として、ドイツでは欧州のほかの国で起こったような医療崩壊は起こりませんでした。

 経済についても支援金を出すタイミングが早かったです。一方で、年末までに再評価を行い、必要なかったと判断した企業には一部返金を求めるという噂があります。そこはドイツらしい(笑)。

迅速な情報提供の一方で「もろ刃の剣」も

――もう1つは?

 欧州連合レベルの話になりますが、欧州委員会のトップはウルズラ・フォン・デア・ライエンというドイツ人なんです。医学博士で7児の母、メルケル政権を14年間支えて国防大臣も務め、欧州委員会で史上初めて女性委員長となった人です。

 欧州連合は今、コロナ後に目指す経済復興策としてグリーンリカバリーを進めています。これは、経済対策で気候変動を重視することを要求するイニシアチブで、コロナ不況によるリバウンドから温室効果ガスの排出量を増やしてはいけないというものです。

 コロナ禍で、こういった気候変動対策が二の次になりかねない情勢がありますが、はっきりと欧州委員会が「むしろ加速させる方向で取り組む」とコメントを出しました。それはすごいなと思いました。

――逆にダメだったと思うことはありますか?

 これも3つ挙げます。先ほど情報提供が早かったことが良かったと言いましたが、これはもろ刃の剣で、誤った情報も広まってしまいました。州政府によって言っていることが違ったり、初期の頃は「マスク着用は意味がない」と言っていたのに、4月からは着用が義務付けられたり。

――ヨーロッパはアジアと違い、マスクをつける文化があまりないですもんね。

 そうですね。もう10年ほど前ですが、一度だけ夫と2人でマスクをつけて電車に乗ったとき、周囲から人がいなくなったことがありました。直径2メートルぐらい(笑)。

――今のソーシャルディスタンスのよう。

 ただ、何年か前に国として感染症対策が行われたからなのか、今回マスクが手に入りづらくなるということはなかったです。