新型コロナウイルスの感染防止対策として、政府は海外からの入国を制限するなど水際対策の強化を発表している。出国においても、外務省は全世界を対象に「不要不急の渡航は止めてください」という渡航自粛を呼びかけた。しかし、単なる「自粛要請」なので、甘くみている人も多いようである。医師(日本内科学会総合内科専門医)であり、かつビジネススクールで医療経営を教えているという立場上、海外の医療事情を視察してきた筆者が、「いま海外に行くことの危険性」について解説する。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師 真野俊樹)
外務省の「危険情報レベル2」指定は
単なる自粛要請にすぎないが
安倍晋三首相は3月26日、新型コロナウイルスの感染防止対策として新たな水際対策を発表した。3月27日午前0時から、新たにスペイン、イタリア、フランス、ドイツなどヨーロッパの21カ国(一部の地域だった国は国全土に拡大)とイラン全土からの渡航者を入国拒否の対象にした。
入国拒否の対象は3月24日の時点では、中国、イラン、韓国、イタリア、スペイン、スイスの一部の地域と、アイスランド、サンマリノの全土のみであった。
一方、海外への渡航状況はどうか。日本人に対して、外務省は3月25日の時点で全世界を対象に「危険情報レベル2」に指定した。これは全世界への「渡航自粛の要請」にすぎない。すなわち「不要不急の渡航は止めてください」としただけだ。