オンライン上のやり取りで
コミュニケーション強者が陥る罠
厚生労働省が実施した「新型コロナ対策のための全国調査」によると、緊急事態宣言前と比較してオフィスワーカーのテレワークは全国的に増加しており、第3回調査を実施した4月12日~13日時点でテレワークの実施率は全国平均で約27%でした。ただしこの数字は都道府県で大きな差があり、緊急事態宣言が最初に発令された7都道府県で見ると、最も進んでいる東京都では約52%、最も遅れている福岡県で約20%となっています。
一方、日本総研が発表したレポートによると、景気の悪化に加えテレワークの普及によってオフィス需要が減少し、全就業者の1割がテレワークを続けた場合、オフィス空室率は15%近くまで上昇する見込みで、オフィス賃料も2割下落する可能性があるとしています。
オフィスの賃料に大きな影響を与えるくらいテレワーク、リモートワークが普及するなかで、オンラインでのコミュニケーションに関するノウハウが急速に集積されるようになってきました。
採用もコミュニケーションのオンライン化が進む領域の一つです。テレワークの普及により、Zoomなどのツールによるウェブ面接が増えているのは当連載でも繰り返し指摘している通りです。今回は、オンライン転職活動に関するノウハウについて記したいと思います。
面接に限った話ではありませんが、まずリアルとオンラインのコミュニケーションで大きく異なるのは、相手の表情がわかりにくいことです。これが話をする側、聞く側双方にとってやりにくさを生み出します。この問題が特にネックとなるのが、意外なことにコミュニケーション能力の高い人です。
直接、対面して会話をするときは相手の目や表情を見て、反応を確認しチューニングしながらやりとりをしています。コミュニケーション能力の高い人はこれが上手なのですが、オンラインのコミュニケーションではそのスキルが封じられてしまい、つい話をはしょったり、途中で打ち切ってしまったりしがちになるのです。