そのうち彼女はBさんの自宅を調べ上げ、ドアのポストからスプレー缶を突っ込んで部屋をペンキで汚すなどの嫌がらせをし、結局びびった彼は警察に相談する事態になった。彼もまた「さっぱりしているフリして怖い女だった」とぼやいていた。

 Bさんの女性を私は直接知らないが、彼の話を聞く分には、もちろん生まれつきのサイコビッチであるわけではない。

 また、Aさんの方に至っては、彼が「やばい女」と呼んだ彼女はもともと私の親友のバイト友達だったのでよく知っているが、別にツノが生えているわけでも、妄想癖があるわけでも、異常行動が目立つわけでもない、常識的な子だった。

 AさんやBさんの自分勝手な言い分を聞いているとよくわかるが、彼らに人を傷つけたり人の人生を振り回したりする悪気は全然ない。

 ただし、彼らには2つの顕著な特徴がある。

 1つ目は、「自分の目の前に見えている現実以上のことは何一つ想像しない」「自分という人間と自分に関わっている女性が同じように人間であり同じように人生を生きているという発想が、からきしない」ということがある。

 男に人生や生活や目的や楽しみや気分があるように、女にも人生や生活や目的や楽しみがある。当たり前すぎて誰も口にしないが、それはそうだ。

 浮気相手に恨まれるタイプの男というのは、目の前で楽しんでいるように見える女が、「自分の目の前でセックスを楽しんでいる女」以上の存在だとは一切思っていない。

 しかしもちろん彼に見えている姿の後ろに、彼女たちの人生や生活があるわけで、そのことに対する圧倒的な想像力の欠如は、次第に態度や行動ににじみ出て、人間として尊重されていないことに気づいた彼女たちは、たとえ自分が当初その関係を楽しんでいたのだとしても、何かのきっかけで恨みを持つようになる。

 そして当然、人間扱いされないのだから、人間らしい振る舞いをする義理もなく、平気でモンスターになる。