「もっと早く知りたかった…」精神科医が教える“考えすぎない”技術
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【精神科医が教える】「考えすぎる人」が無意識に陥る思考のワナ・ワースト1Photo: Adobe Stock

考えすぎてしまう人が「考え込まない」ための方法

今日は、「考えすぎてしまう人が、どうすれば考え込まずに済むか」の方法について考えてみたいと思います。

「考えすぎの人が考えすぎないようにする方法を考える」というと、少しややこしく聞こえるかもしれませんね。しかし、世の中には些細なことまであれこれと考えすぎてしまい、そのせいでしんどい思いをしている方々がいます。

なぜ「考えるのをやめる」のは難しいのか?

考えすぎてしまう人が「考えるのをやめたい」と思っても、それはとても難しいことです。「考えるのをやめてください」と言われて、「はい、やめました」とその瞬間はできても、またすぐに「ふつふつ」と考えが湧いてきてしまいます

なぜ勝手に湧いてくるのでしょうか。それは、考えるという行為が、単なる「意思によるもの」ではないからです。「自動思考」という言葉があるように、思考は勝手に湧いてくるものなのです。だからこそ、多くの人が苦労しています。

もし「やめる」と決めて簡単にやめられるなら、誰も悩みません。特に、物事を考え込みやすい性格の人は、この「自動思考」が強く働く傾向にあります。

解決策は「他のこと」を考えること

では、どうすればよいのでしょうか。それは、無理に「考えるのをやめる」のではなく、「他のこと」を考えるということです。

考えやすい性質や、自動的に思考が始まってしまうことは、なかなか止められません。ですから、その思考を無理に止めるよりも、トレーニングとして「他のことを考える」ように切り替えていくのです。

「行動中心主義」のススメ

では、「他のこと」を考えるためには、どうしたらよいのでしょうか。それは、「行動する」ことです。私は普段から「行動中心主義」を唱えています。実を言うと、私は「考え事」というものを、あまり良いものだとは思っていません。

人間の知能は素晴らしい部分もありますが、万能ではありません。すべての物事を理解できるわけでもなければ、簡単に悟りを開けるわけでもありません。私たちは全知全能の神様ではないのです。

ですから、自分の頭だけで考えても、答えが出ない問題は世の中にいくらでもあります。答えの出ないことを考え続けていると、変なところで引っかかってしまい、気分が落ち込み、ネガティブな気持ちになってしまいます。

「私、よく考えやすい人なんです」と相談に来られる方のほとんどは、くよくよしたり、ネガティブなことを考えたりするからこそ困っているわけです。「楽しい空想が膨らんで止まりません」という理由で相談に来る人は、困っていないので、あまりいません。

考えるべきは「何を(しない)するか」

つまり、困っている人の「考え事」とは、「嫌なこと」を考えている状態です。嫌なことを考えないようにする最善の方法は、「他のことを考える」こと、すなわち「行動」について考えることです。

つまり、私がお伝えしたいのは、「何をするかだけを考えてください」ということです。「何をするか」については、存分に考えていただいて構いません。

そして、決めたら、それを行動に移してください。もし、また考えが止まらなくなりそうであったら、「じゃあ、それ(考え事)に対して、自分は何をするか」を考えてください。このようにしていくと、思考が常に行動と結びつき、「行動中心」になっていきます。