持続化給付金の委託で
「中抜き」や横流しの疑惑

 問題になっているのは、売り上げが急減した中小企業などに最大200万円を出す「持続化給付金」。コロナ禍を受けた緊急経済対策の柱の1つだが、申請受け付けや審査といった手続き業務はまとめて民間に委託している。

 それを769億円で受注したのは、一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ推協)だった。

 ところが、業務の大半は749億円で広告大手の電通に再委託されていたのだ。さらに電通からも業務が子会社5社に割り振られ、人材派遣大手のパソナや、ITサービス大手のトランスコスモスなどにも外注されていた。

 サ推協は2016年、電通、パソナ、トランスコスモスの3社でつくった団体だ。

 電通やパソナがじかに請け負わず、団体や子会社を挟むのは、なぜなのか。再委託や外注のたびにお金が「中抜き」されているのではないのか。

 サ推協は法律で定められた決算公告を一度もしていなかった。

 先週までの国会は、この問題で大荒れだった。

 なぜ政府は、このような団体に巨額の公的業務をまかせたのか。769億円の出どころは、国民が納めた税金だ。本来ならもっと安い価格でできるはずなのに、税金がムダづかいされているのではないのか。一部の企業に横流しされているのではないか――。

 予算委員会で、野党側はこぞって政府を攻め立てた。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「電通ダミー法人とでもいうような法人による丸投げ、中抜きという疑惑」だと断じ、同党の蓮舫氏も「こんな団体に大切な税金を渡して、適正ですか」と迫った。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は「四重塔、五重塔ぐらいになっている。国のチェックがいき届きにくくなる」と指摘し、何回もの再委託や外注を厳しく批判した。
 
 これに対し、安倍首相は、あとで精査して実際にかかった費用だけを渡す「清算払い」のため、税金のムダづかいは起きないと反論した。769億円はあくまで見込みで、このまま払うか決まっていないというわけだ。

 さらに「中抜きという、それも言葉づかいとしてどうなのか」とも反発した。

再委託や外注の不透明
全容を把握できていない経産省

 だが、質疑や経産省の担当職員からのヒアリングで、驚くべき事実が浮かんできた。

 どの作業にどんな企業がかかわっているのかといった業務の全容を、担当する経済産業省が把握できていなかったのだ。

 野党議員が調べた外注先の企業名について、梶山弘志経産相は「初めて聞いた」と答えるしかなかった。

「何次下請けまであるのか」「委託先との契約書を出してほしい」と、経産省の担当者に求めても、明確な答えはないままだった。