繰り返される
セクハラ行為
在宅勤務にも慣れてきた5月中旬のこと。
「やばっ。もう8時50分だ!」
ベッドから飛び起きたA子は急いで身支度をし、パソコンの前に座った。その後B課長との定例マンツーマンでの業務打ち合わせを終えると、B課長がふと言った。
「あれ、A子さん今日はもしかしてスッピン?」
「は…はい」
「だめだよ。自宅だからってダラけてちゃ。それとも朝寝坊してお化粧する時間がなかったの?」
「すみません。そうなんです。あわててパジャマから着替えたのですが、化粧をする時間がありませんでした」
「あははは…大丈夫。スッピン姿も十分かわいいよ。A子さんって普段はパジャマ着て寝てるんだ。一体どんなパジャマ着てるのかなあ?今度見せてよ」
この日を境に、B課長はA子に対してオンライン越しにプライベートな話を振ってくるようになった。
そして会話の中でA子に最近付き合い始めた彼氏がいることがわかると、「彼氏もA子さんの部屋に来るんでしょ?もう深い仲になった??」「あっ、この頃太ったでしょ。そんなんじゃ彼氏に嫌われるよ!それとも彼氏はぽっちゃりタイプが好みなのかな?」など、彼氏との関係を根掘り葉掘り質問攻めに。
揚げ句の果てには「彼氏とデートするときはどんな下着つけているの?」などと下世話な話題まで飛び出した。
A子は最初こそ適当に聞き流していたが、そのような会話が毎日のように繰り返されるうち、B課長の声を聴いたり、テレビ電話の顔を見たりするだけで気持ちが悪くなった。そして、仕事外でもB課長のことを思い出すだけで吐き気に襲われるようになってしまった。