ピーチ・アビエーションの森健明CEOピーチ・アビエーションの森健明CEO Photo by Masami Usui

ANAホールディングス傘下のLCC(格安航空会社)であるピーチ・アビエーションが6月19日に国内全22路線で運航を再開した。7月には国内で全便の運航を再開し、8月にはさらに国内増便を予定する。コロナ危機に対して楽観的にも映る決断の裏には、むしろシビアな経営判断があった。4月に就任した森健明CEO(最高経営責任者)が戦略の転換からANAとの関係、資金調達方法、コスト構造までを詳細に語った。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

全路線での運航再開は
経営のリスクヘッジ

――新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための都道府県をまたぐ移動の自粛要請が緩和された6月19日、ピーチは国内全路線で運航を再開しました。市場が厳しい中でのアグレッシブな決断には反対もあったのでは?

 役員会議の中ではいろいろな意見がありました。「もう少し早くてもいい」と言う者もいれば、「夏までやめとけ」と言う者もいた。コロナは先が見えない。でも決めなくてはいけない。感覚的に早いとか遅いとか、憶測とかではなく、目の前にある事実を積み上げて、この結論を出しました。

――事実の積み上げとは?