詳細な事案の内容は、文春の掲載号をご覧いただくとして、大まかに言えば、持続化給付金を所管する中小企業庁の前田長官と同協議会の平川理事の間に癒着関係がある疑いがあり、それが今に始まった話ではないこと、具体的には、米国オースティンで開催されたSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)出席にかこつけた出張の実態を見ればそれが明らかである、そうした話である。

 国会でこのことについて追及された前田長官は疑惑を否定、出張についても問題はない旨、釈明している。

 しかし、前田長官の発言は当初の全面否定から一部を認めるなど、二転三転していることは否定できず、これらの対応によって疑惑が払拭されたわけではなく、むしろ強まったと言った方がいいような状況である。

 そこで、本稿においては、疑惑の真偽をうんぬんするのではなく、この疑惑を考えるに当って「何が鍵となるのか」、この疑惑を考えるヒントについて解説してみたいと思う。

前田長官は
必要な「手続き」を行っていたのか

 まず、基本的な事項として、前田長官と同協議会の関係であるが、同協議会は経済産業省および中小企業庁から業務の委託を受けており、国家公務員倫理法に言う「利害関係者」に該当し、供応接待はもちろんのこと、一緒に旅行に行くことも禁止されている。

 加えて、割り勘での食事の場合であっても、1万円以上であれば、倫理監督官(大抵の場合は各府庁の官房の人事担当課長)への届出が必要とされている(もちろん、届出をすれば可能であるが、何か疑義を持たれるおそれがある場合は、倫理監督官から止めるよう勧告される場合もありうる)。

 前田長官が、官房審議官時代などを通して、こうした届出を行っていたのかは一つの重要なポイントである。

 仮に、「届出を行っていない」「一緒に旅行に出かけた」などの事実が明らかになれば、国家公務員倫理法に違反したとされる可能性があり、その場合は同法ではなく、国家公務員法第82条に基づき、人事権者である経済産業大臣が懲戒処分を検討することになる(その要否、程度は大臣の判断によることにはなるが)。

 いずれにせよ、両者の癒着疑惑一般を晴らしたいのであれば、こうした「手続き」を国家公務員倫理法に基づき適切に踏んでいることを証明すればいいのであるが、現段階では何らなされていない。