コロナ禍の進行と同時に
ポピュリズム政党が退潮している理由

 新型コロナウイルスの世界的感染拡大と同時進行で起きている現象の1つは、「ポピュリズム(大衆迎合主義)政党」の退潮である。

 これまで、ポピュリズムは世界を席巻してきた。2016年には、英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定した。そこで大きな役割を果たしたのが、ナイジェル・ファラージ氏率いる英国独立党(United Kingdom Independence Party)だった(第217回)。米国で2017年は、移民や宗教などに対して過激な言動を繰り返したドナルド・トランプ氏が大統領選挙に勝利した(第211回)。

 17年には、フランス大統領選で、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に勝ち残った(第162回)。ドイツ、オーストリア、スイス、イタリア、オランダ、ベルギー、スウェーデンなどさまざまな国でポピュリズム政党と呼ばれる政党がその勢力を拡大しつつあった。

 一方ドイツでは19年10月、反移民政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭によって地方選で相次いで敗北を喫し、アンゲラ・メルケル首相が18年間務めたキリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任すると表明した。さらに、将来の首相候補として、CDU党首の座を継承したアンネグレート・クランプカレンバウアー氏は、AfDとの協力を推進すべきか否かを巡りCDUで内紛が起こり、20年2月に辞任してしまった。

 ポピュリズム政党の台頭は、保守とリベラル双方の既存政党が政権獲得のために、都市部中道層の有権者の支持を得ることを優先したことで起こった。規制緩和や歳出の削減、福祉支出削減、生産性向上のための低賃金の移民受け入れなどの政策を実行し、それにそれぞれのコアな支持層が不満を募らせたのだ。類いまれなる扇動の才覚を持つポピュリストが、財政バラマキや排外主義、タカ派的な安全保障を訴え、既存政党からコアな支持層を奪っていった。

 しかし、コロナ禍で状況が一変した。コロナ対策に奮闘する各国の指導者の支持率が上昇しているのだ。

 CDUが混迷の極みに陥っていたドイツもそうだ。求心力を完全に失っていたメルケル首相だったが、コロナ禍への対応を通じて、支持率が3月末に79%まで劇的に急回復した。