このように語った言葉を一字一句正確に見ていくと、彼の頭の中が見えてくる。投資を行う人は、常にこのような一次情報を大事にしてほしい。彼の「アメリカに投資をしよう」という株主総会での呼びかけがクローズアップされて報道されているが、実は彼は「今後複数年は何があるかわからない」と語っていたのだ。アメリカへの投資をしようとしていた人は楽観視せずに、慎重に分析をしながら行った方が良い。彼は反発上昇を狙うという投資スタイルではない。将来が読めない時期は、過去には4年間も一切株を買わずにじっと耐えた男なのだ。

 彼はこのあと、アメリカで起きた歴史的事件の中から9.11、世界大戦、リーマンショックなどの危機を引き合いに出し、「米国の未来を信じていたし、これからも信じている」と語っており、それがメディアではよく報じられている。彼はこの話の最後に「never, never bet against America.」と語った。

バフェット氏が目の当たりにした
世界恐慌の教訓とは

 さて、ここまでバフェット氏について述べたことは、どちらかといえば表面的なことだ。私が皆さんにお伝えしたいのは、そのようなことではない。彼の言葉を、もう少し分析してみよう。

 1929年から始まった世界大恐慌の株価暴落の話をしているとき、彼はこう語った。

「1930年8月30日には20%以上回復していた。1930年の秋には、誰も大恐慌の真っただ中にいるとは思っていませんでした。これまでに、少なくとも10回くらいは起こった不況と同じだと思っていた」

 このあとダウ平均株価は2年で83%下落し、後にも先にも最大の下落を記録したのだ。みんなが大丈夫だと思っていても油断が出来ないと言いたいのだ。

「4000以上の銀行がつぶれました。私は確信していますが、銀行の破綻が国中で起こっていなかったら、かなり違う世界になっていただろうと思います」

 つまり、庶民の生活に影響を与えた結果、ここまで大きな経済損失が起きたと言い、コロナを心配していることが読み取れる。

「大恐慌が株価に与えた影響は驚異的で、株式市場が以前の状態に戻ったのは1951年1月4日のことでした。つまり1930年8月30日に生まれた子どもが、大学を卒業するまでの時間がかかったのです」と庶民の生活に影響を与えた場合は回復までに相当な時間がかかることも示唆している。