天皇皇后両陛下
コロナ第二波を恐れている国民は、こんなときこそ天皇陛下のメッセージを聞きたいと思うのではないか Photo:Carl Court/gettyimages

東日本大震災で心に刻んだ
天皇皇后両陛下の「想い」

 ようやくすべてのコロナ自粛が解除され、国民は第二波を恐れつつも、解放感に浸っています。

「こんなときこそ、天皇陛下のお声が聞きたい」

 僣越ですが、私はそう思います。

 私は皇室担当記者でもなければ、政府の人間でもありません。出版社・文藝春秋を2年前に辞め、今は地方の大学で教鞭をとる一介の教授です。天皇陛下にこんなお願いをするのは、とんでもないことかもしれません。

 ただ、過去の経験を、後輩や一般の国民の人たちに伝えたい。そんな想いで筆をとりました。

 東日本大震災が起こったとき、私は月刊『文藝春秋』の編集長をしていました。雑誌の発売直後の3月11日に大震災が起こりました。編集部員は11人。まだ東北の地に取材に行けるかどうかもわかりません。いや、余震が続き、東京だって危ないかもしれないと怯えていました。

 編集部の企画会議も、沈鬱な雰囲気です。そのとき、ある編集者が発言したのです。

「震災直後に天皇陛下がビデオメッセージでお言葉を出されました。新聞各紙にも全文が掲載されています。それなら、月刊文藝春秋にインタビューか手記を載せていただけないでしょうか。国民の不安を取り除き、復興にむけて一体感を出せる人は、日本では天皇皇后両陛下しかいらっしゃらない、そう思います」

 全員、その通りだと思いました。しかし、文藝春秋は宮内庁の記者クラブに属しているわけではありません。天皇陛下に直接お願いできるような編集者もいません。考えたあげく、川島裕侍従長のメールアドレスに辿り着きました。

 意外なことに、すぐに川島侍従長から返事がいただけました。「原稿は書きましょう。ただし、天皇陛下のお言葉は、すでに発せられたもの以上付け加えることもないし、付け加えるべきでもありません。だから、あのお言葉は全文、文藝春秋にも掲載してもらった上で、侍従長として、この大震災時の天皇皇后両陛下の雰囲気を記録に残しておくことは意味があると思う」とのことでした。