5月1日、新天皇が即位され、新しい時代「令和」が始まった。皇位継承に伴う儀式の様子はニュースで連日報道されている。しかし、天皇陛下の日常のお仕事について、知らない人も多いのではないだろうか。天皇陛下の1年を知ると、とてつもない激務の毎日であることがわかる。『週刊ダイヤモンド』2016年9月17日号の第1特集「日本人なら知っておきたい皇室」で掲載した記事を特別公開する。
多くの日本人は学校の授業で、「天皇」は13項目の国事行為「のみ」を行うと教えられる。しかも、国事行為には「国会の召集」や「首相の任命」といった、めったに行われないものが含まれている。
そのため、2016年の天皇陛下の「お気持ち」の発表を受け、“それほど大変だったのか”と思った人も多いようだ。
しかし、「お気持ち」の中に、「体力の低下を覚えるようになった」ころから、もし「従来のように重い務めを果たすことが困難になった」場合、どのように対応することがよいか考え始めた、との趣旨の表現がある。「重い務め」が責任だけでなく、体力面も指していることは明らかだ。
実は、陛下は被災地への慰問、歌会始や園遊会、植樹祭への出席など、国事行為に含まれない数多くの“お仕事”(一般公務)をされている。しかもそれが国事行為の何倍の数もあるのだ。
政府は天皇について、憲法の条文から「国事行為を行う『天皇』という地位」と「(○○を行う)『象徴』という地位」の二つの地位があるとしており、その○○に当たるのが前記のさまざまな一般公務(政府は「公的行為」と呼んでいる)だ。
この公的行為とは何か。例えば国民体育大会(国体)の開会式の際、国の象徴の一つである国旗を掲揚するのと同様に、憲法で国の象徴と定める天皇に出席していただくようなことだ。