ドナルド・トランプ米大統領Photo:Drew Angerer/gettyimages

【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領の再選戦略は、1期目の当選を目指した際のやり方を再現することだ。彼の選挙対策チームは、民主党の候補者指名を確実にしているジョー・バイデン氏を現職大統領のように描き、トランプ氏のアウトサイダー的資質を強調しようとしている。

 トランプ氏は選挙広告やインタビュー、ソーシャルメディアへの投稿を通じて、デラウェア州選出上院議員や副大統領としてのバイデン氏の過去40年間の経歴に焦点を当てようとしている。これはトランプ氏がこれまでバイデン氏に関して発信してきた幾つかのメッセージの中で、最も一貫性のあるものだ。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴うロックダウン(都市封鎖)によって、米国民の失業手当申請件数が歴史的高水準となっている現状で、トランプ大統領は、多くの失業者が出ているのはバイデン氏が過去数十年間に支持した貿易合意のせいだとして同氏を批判してきた。トランプ氏の任期4年目になって警察の残忍な対応を非難する抗議行動が全国で加速していることに関しては、トランプ陣営はバイデン氏が1990年代に刑事司法関連の法律制定を推進したことを指摘してきた。これら法律によって「何百万人もの黒人の命が奪われた」というのがトランプ陣営の主張だ。バイデン陣営は、こうした戦略について、切羽詰まっての策であり、効果はないと斬り捨てている。