一足先にJ2とJ3が再開。コロナ禍前とは全く違った光景が広がっていた
一足先にJ2とJ3が再開。コロナ禍前とは全く違った光景が広がっていた 写真:西村尚己/アフロ

新型コロナウイルスの影響を受けて、2月下旬からすべての公式戦を中断してきたJリーグが帰ってきた。6月27日および28日に開幕節以来となるJ2の11試合、約3カ月半遅れの開幕となるJ3の9試合がそれぞれ行われた。無観客試合の呼称がリモートマッチに改められたスタジアムの雰囲気や、ピッチ上でも確保が求められるソーシャルディスタンスなど、コロナ禍に見舞われる前とはまったく異なる光景は、4日に再開を迎えるJ1へとつながっていく。(ノンフィクションライター 藤江直人)

3密排除のガイドラインは70ページ!

 止まっていた時計が125日ぶりに動き出した。ともに開幕節となる明治安田生命J1リーグ4試合、同J2リーグ11試合が行われた2月23日以来となる、サッカーのある光景が戻ってきた。ファン・サポーターが待ち焦がれてきた再開のピッチはしかし、ちょっとした違和感を生じさせていた。

 これまでのように両チームが列をなしてエスコートキッズを伴い、審判団を先頭に入場してくるわけではない。すべてのスタジアムで、両チームの選手たちがバラバラにピッチへ足を踏み入れてくる。キックオフ前恒例の集合写真も、いわゆるソーシャルディスタンスを保って撮影されている。

 すべては公式戦の再開へ向けてJリーグが定めた、70ページで構成される「Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」で、微に入り細をうがつ形で定められたプロトコルだ。ガイドラインの目的は言うまでもなく、サッカーから密閉・密集・密接の“3密”を極力排除することにある。

 濃厚接触を避けるために給水のペットボトルも共用が禁止され、それぞれに選手の背番号が記された専用ボトルが用意される。かかわる人数を可能な限り減らすために、ピッチの周囲でスタンバイし、スローインのボールを渡すボールボーイも地元の子どもたちではなくクラブのスタッフが務める。

 しかし、どれだけ事前に徹底していても、人間の本能にはかなわない。ゴールが決まった後に味方同士で抱き合い、時には重なり合って喜びを共有するゴールセレブレーションもガイドラインで禁止されているが、何人もの選手が“密”を作りかけては気がつき、距離を取った儀式に切り替えていた。

「やっぱり実際に抱き合って喜び合いたい、という気持ちはありますけど。ああいう形になってしまったのは、今はしょうがないと思っています。解禁されたら、みんなとしっかり……」

 こう語りながら苦笑したのは、約3カ月半遅れの開幕戦で左サイドバックの先発を射止めた、福島ユナイテッドFCのルーキー吉田朋恭(産業能率大卒)だ。前半45分にデビュー戦で初ゴールを決めた直後にひじをくっつけ合う、本人をして「ああいう形」と言わしめた儀式で喜びを共有していた。