ホワイトハウスPhoto:Tasos Katopodis/gettyimages

――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト

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 2つのパンデミック(世界的大流行)が世界を席巻している。1つは新型コロナウイルス。もう1つは、世界的な民主主義の衰退だ。多くの国で政治が二極化し、民主的ではなくなりつつある。いずれのパンデミックも、まだ解決策が見つかっていない。

 新型コロナとは違い、民主主義の機能不全は今に始まったことではない。気がめいるほど多くの国で、民主主義的な制度の強さが低下すると同時に、アイデンティティーポリティクス(人種やジェンダーなど特定のアイデンティティーに基づく集団の利益を代弁する政治活動)とイデオロギーを巡る争いがますます二極化している。

 1930年代と40年代にファシストと共産主義の両方の知識人らが行った自由主義に対する批判を繰り返しているかのように(ほとんど自覚はないだろうが)、民主主義の衰退の原因は冷戦後に広まった「新自由主義」政治にあると右派・左派の多くが主張している。