ホンダのバイク販売店Photo:Godong/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 目下のリセッション(景気後退)は二輪車メーカーにとって想定外の追い風になるかもしれない。ただ、米オートバイ大手のハーレーダビッドソンは例外になりそうだ。

 新型コロナウイルスの流行を制御した中国と欧州諸国では、消費者がオートバイを購入している形跡がみえている。ドイツとオーストリア、オランダでは5月、二輪車販売が前年同月の水準を上回った。もっとも、欧州全体では、英国とスペインの根強い問題が足かせとなり、依然として前年同月を10%下回る。市場調査会社モーター・サイクルズ・データは、6月に回復ペースが速まり、イタリアでは売上高が前年同月比20%増になると予想している。

 背景には、人々が新型コロナウイルスを避けるため、公共交通機関から個人の交通手段へとシフトしていることがある。

「オートバイやスクーターだけではなく、電動自転車や電動スケボーも含め、どれもお互いを避けようとする人々にうってつけだ」とモーター・サイクルズ・データのカルロ・シモンジーニ最高経営責任者(CEO)は指摘した。

 個人の交通手段が好まれる傾向は、アップルが公表する経路検索の日次データからも明らかだ。ロックダウン(都市封鎖)を解除したドイツやフランスなどの国では、アップル・マップでこれまで以上に運転経路の検索が増えている。