大阪・吉村知事は質問尽きるまで続行
「座席表は作成していない」と回答

 小池百合子知事の態度はしばしば、石原慎太郎元知事と比較される。当時を知る全国紙の元都庁担当記者は「石原氏は、批判的な質問をする記者も関係なく指名し、露骨に不機嫌になったりムキになったりして反論することがあったものの、とにかく質問に答えてはいた」と振り返る。石原都政の評価をめぐっては毀誉褒貶(きよほうへん)あるものの、良くも悪くも大物ぶりを発揮していたのである。

 また大阪府の吉村洋文知事は4月1日のツイッターで「(午後)2時過ぎから始まった僕の記者会見、終わったのは4時半。2時間以上。ほぼ全部コロナ。こんなのざら。さらに毎日のぶら下がり取材。記者全員の質問がなくなるまで無制限でやる」と投稿した。

 大阪府企画室政策課報道グループによると、吉村知事の会見も原則週1回、府庁の記者クラブ主催で開かれ、クラブに申し込めば非加盟の記者も参加できる。公務の都合で会見を終えることもあるが、なるべく質問がなくなるまで会見を続ける。また「報道グループが記者の座席表を作成することはない」と回答した。小池知事から避けられ続けている横田氏の質問にも、吉村知事はごく普通に答えている。

 だが小池知事の会見では、批判的な質問が封じられる一方「今日はいつもと違うマスクをされていますが、(マスク不足の問題について)どういったふうにお考えでしょうか」(4月7日、フジテレビ)、「(大阪府の吉村知事の体調を気遣い)『吉村寝ろ』とネットで言われていますが、小池知事は体調管理をしっかりなさっているのか、そのあたりを聞かせてください」(4月17日、日刊スポーツ)といった緊張感の乏しいやり取りがなされることがままあるのが実態だ。

 5月29日の会見では小池知事の方から「私、口紅忘れてる? もうこのところ、全然しないです。関係ないですけど。化粧品も売れないとか聞きましたけど」などと発言。前列に陣取る民放キー局の女性記者らがこれにうん、うんとうなずいて見せる光景があった。

 本編集部は都の情報公開制度を使い、定例記者会見の最中に初宿理事から小池知事に手渡された座席表について開示請求をした。だが都側は、開示・不開示の決定期限である請求から14日目に、決定の延長を通告してきた。理由について都報道課は、「コロナ対応や都知事選への対応で多忙であり、文書の存在について確認ができないため」と説明した。会見のたびに記者の目の前で知事に手渡された1枚の文書の存在が、2週間たっても確認できないというのだ。