米連邦最高裁判所は9日、ドナルド・トランプ米大統領の納税記録などの財務情報提出を命じる召喚状に関する2つの案件について、いずれも7対2で、審理を下級裁に差し戻す判決を下したが、この判断は、ソロモンの裁き(子供の母親だと主張する2人の女性にソロモン王が、体の半分ずつを受け取るよう裁定し、2人を試そうとしたこと)を試そうとしているように見えた。しかし、ここではトランプ氏のことはいったん脇に置いておくことにしよう。今回の判決の本当の重要性は、最高裁が議会や地方の検察当局による嫌がらせに門戸を開いてしまったために、大統領職の立場が弱まったという点にある。このうち地方検察の件は、特に重要だ。具体的には判事らは、この2つの案件を下級審に差し戻し、多数意見で示された新たな総合的ガイドラインに基づいて同案件を再検討するよう要請した。これによって、トランプ氏が次の大統領選挙以前に納税記録の提出を強制されることはなくなったとみられる。そして、トランプ氏が11月の選挙で敗れれば、最高裁でこの件が再び審議されることはないだろう。
【社説】米国の大統領職にとって災いの日
最高裁の判断、議会や地検による大統領への嫌がらせに門戸開いた
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