『ばけばけ』第61回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第61回(2025年12月22日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
銀二郎からの手紙
第12週の終わりに銀二郎(寛一郎)からの手紙が来て、次週予告で恋愛ドラマみたいな雰囲気を想像させた『ばけばけ』。だが、第13週「サンポ、シマショウカ。」(演出:村橋直樹)のはじまりはまたしても怪談だった。
「侍が箱の中をゆっくりと開けた。ぬるりと温かい嫌な匂いと何かが転がる音――」
転がったのは――。
ぎゃーー。
不穏な劇伴が流れ、「小豆とぎ橋」という怪談をトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)は語っている。
蛇(渡辺江里子)と蛙(木村美穂)が、ヘブン先生(トミー・バストウ)はただ怪談が気に入ったというだけではなく、怪談のことを『日本滞在記』に書いているのだと説明。決して趣味ではなく、れっきとした仕事なのだ。
「そして滞在記が書き終わると、ヘブン先生は――」
「ヘブン先生は――」
外国に帰ってしまうのでございます。ぎゃー。
その事実を錦織(吉沢亮)から聞いたトキは不安にかられる。おずおずと「お帰りになられますか、滞在記が書き上がったら――」と聞く。
「なんて?」「日本語が」と ヘブンは意味がわからないそぶりをする。トキはそれ以上言葉を尽くさず、「小豆とぎ橋」をもう1回語りだす。
ここで気になるのは、「お帰りになられますか、滞在記が書き終わったら」の意味がほんとうにヘブンにはわからなかったのかということだ。そんなに難しい日本語ではなさそうなのに。曖昧(あいまい)にしたようにも思える。
こうして丑三つ時まで怪談を語ったトキ。翌朝、フミ(池脇千鶴)から銀二郎からの手紙を受け取る。
手紙には何が――。







