日本のほとんどの企業で行われる人事ローテーションは、イノベーション活動の邪魔になることが多いようだ Photo:akindo/gettyimages

 オープンイノベーションのために米シリコンバレーに派遣された駐在員には、長年の課題がある。シリコンバレーのベンチャーコミュニティーになかなか入れないことだ。

 よく知られるように、シリコンバレーは事業イノベーションの世界的中心地だ。新しい事業の胎動は、何万社もあるスタートアップ企業やそれらに投資するベンチャーキャピタルなどから成るコミュニティーの中でこそ感じられるもの。そのインナーサークルにいないと、変化の兆しやその背景が理解できない。スタートアップ企業の急成長や潮流をニュースで知ったときにはもう遅いのだ。

 情報収集の巧拙の問題だと考える人もいるが、これは根の深い誤解だ。イノベーションは何かの情報があればできるわけではなく、「情熱」を持った人がいろいろな知識や経験を頭の中で融合させる「再結合」から生まれる。情報ではなく情熱が全ての源であり、非常に個人的な営みなのである。

 ただ、最近はそのような情熱を持った駐在員が少しずつ増えてきた。先日、ジェトロ(日本貿易振興機構)のサンフランシスコ事務所がオープンイノベーションに関するオンライン討論会を主催した。登壇した駐在員たちははつらつとしており、それぞれが自社のイノベーションにつながった取り組みを紹介していた。