はずみをつけて、
迷いをふっ切らせる

 行動してもらわないことには、説得は完結しない。必要を感じていながら、行動となると、「立ち止まり」「戸惑い」なかなか踏み切れない。

 思い切って行動に踏み切らせるには、説得者として、どんな話の持っていき方をすればよいのかを、考えてみよう。

 どうしようかと決めかねている相手に

 「決めるのはあなただからね」

とばかり、押しつけがましく迫ると、うるさがられて、自発意思が失われる。

 後ろから背中をポンと押してやるみたいに、相手の決心と行動を促すのがよい。

 国際線の機内でのこと。

 スチュワーデスがそばに来て、

 「お客様。お飲み物は何がよろしいですか、コーヒー、紅茶その他いろいろございますが」

 こんなとき、日本人客は、

 「うーん」

と、腕を組んだまま考え込み、決定に手間がかかる人が多いという。そこで、はずみをつけるように、

 「コーヒーがよろしいですか、それとも紅茶になさいますか」
 
 この一言で、客はつられるように、
 「紅茶をもらおうか」
 「かしこまりました。紅茶はレモンティーになさいますか、それとも……」

 「レモンティーにするよ」

 客も笑いながら応える。

 はずみを利用して、決定を促すやり方は、他にも応用できる。