新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、多くの国が医薬品など必需品のサプライチェーン(供給網)における中国依存を見直す契機となっている。インドは特にこの機に乗じようとするかもしれないが、至って忍耐強く進めることになるだろう。インドは医薬品の国内生産へ向け、製薬会社による53種の成分と主原料の製造を後押しするため、10億ドル(約1050億円)近くのインセンティブ政策を導入した。堅固なジェネリック医薬品(後発薬)業界を有するインドは、米国の後発薬の4割余りを供給している(クレディ・スイス調べ)。ただ、製品の原材料は中国に頼っている。ゴールドマン・サックスによると、インドが輸入する医薬品有効成分(API)の68%は中国産で、一部の医薬品では成分のほぼ100%を中国に頼る。こうした過剰な依存は今年に入り、大きな問題を引き起こした。パンデミックによって中国工場の多くが閉鎖したためだ。価格はつり上がり、インドは一時的に、多数の成分や、そうした成分を含む抗生物質などの医薬品輸出を停止せざるを得なくなった。有効成分の価格はその後に元に戻ったものの、先ごろ国境近辺で中印の緊張が高まったことから、インドは業界支援策を維持する公算が大きい。
製薬業界の中国依存、コロナで断ち切れるか
インドに好機、忍耐強く進める見込み
有料会員限定
あなたにおすすめ