風邪や虫歯から頭痛、腰痛、生理痛まで、解熱鎮痛薬の出番はものすごく多いにもかかわらず、飲めなくなってしまうのだ。

「しかも悩ましいことには、医師の間でも、この病気のことを知らない人が少なからずいます。

 25年ぐらい前から、国家試験に出題されるようになったので、40代ぐらいまでの医師なら知っていますが、それより上の世代になると認知度が低くなるのが現状です。また、40代以下の医師でも、実際に診察した経験がないと、適切な対応ができない場合もあります。いまだにピリンアレルギーやアスピリンのみのアレルギーと誤解する医療人も少なくありません。

 診断したとしても『有効な治療法はない』もしくは『処方を全くしない』など過剰防衛的に突き放すケースもよくあります。

 患者さんは本当に困っておられます」

 そう嘆くのは、喘息の名医で知られ、日本で唯一のNSAIDs不耐症の国際タスクフォースメンバーにも選ばれた谷口正実医師(湘南鎌倉総合病院 免疫・アレルギーセンター長)。

 去る3月、これまで「有効な治療法はない」とされてきたアスピリン喘息の治療薬を公的研究費(AMED)の支援を受けて7年がかりで世界で初めて証明し、その論文が米国胸部学会誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」6月号に掲載され、同月号の巻頭言にも取り上げられた。また国際タスクフォースの手引きも公表された。

 これにより、日本だけでも数十万人の患者が救われるはずなのだが、谷口医師は楽観できない。

「処方できる薬はない」
断言され、途方に暮れる患者

「喘息の診療ガイドラインにも、この喘息の治療や対応のことは書かれているのですが、現在の成人喘息ガイドラインは、内容が豊富過ぎて200ページ以上もあります。さらに内科領域に関連するガイドラインだけでも、100種類以上あるため、医師はその全てを読むことは現実的に不可能なわけです。したがって、ガイドラインに記載してある重要な内容を知らない医師は患者さんが想像する以上に多いのです。私の外来患者さんの中には、適切な専門家に早く紹介してくれていれば苦しまなくて済んでいたような患者さんが、週に1人はおられます」