さらに、自治体公共料金のキャッシュレス化までも踏み込んでいる。公共料金も金融機関中心の徴収に割り込んで、おこぼれを頂戴しようということであろう。これでは成長戦略というよりも、むしろ「特定の企業にとっての新市場の創出」である。

 つまるところ、成長するのは関連する「特定の企業」だけであって、この国の成長にはつながらない、かえって地方公共団体などの負担が増えるだけである。それを成長戦略に入れるなど、どこまでこの国の政府は狂っているのか、それを了承する与党はどこまで狂っているのか、と思わざるをえない。

 その次に出てくるのは、最近お決まりの「デジタル」関係だ。「デジタル技術の社会実装を踏まえた規制の精緻化」では、自動車の完成検査のAI化などに関し、「従来の完成検査員による完成検査と比較して、AIなどを活用した検査のレベルが同等以上であることを確認できれば、完成検査員を前提とした規制を見直す」としているが、安全性を軽視した単なるコスト削減策、つまり人件費削減策に過ぎないことは明らかである。

一部の「プロ」投資家にしか
メリットがない

「フィンテック/金融分野」では、「プロ投資家対応として、顧客の取引履歴データ等の分析を進め、投資家としての能力と関連性のある項目を特定できれば、プロ投資家規制について、当該項目を踏まえた規制へと見直す」とあるが、要は投資家規制の緩和である。

 一部の「プロ」投資家にとってはメリットがあるのだろうが、さらに投機市場化させ、金融を不安定化させるのみならず、多くの個人資産が投機マネーに変身させられ、毀損させられるおそれさえあるのではないか。ここからは株主資本主義を飛び越えて、金融資本主義、R・ドーアの表現を借りれば「金融が乗っ取る」経済への道を更に突き進もうという意図しか見えない。

 建築分野についても同様で、「建築基準法に基づく建築物の外壁の調査について、一級建築士等によるテストハンマーを使って打診する方法と比較して、赤外線装置を搭載したドローンを用いて、同等ないしそれ以上の精度で問題箇所を検出する性能を確認できれば、規制をドローン活用でも代替可能とするよう見直す」とこちらも安全性よりもドローンの活用を優先したいらしい。

 この国はどこまで壊れていくのか。

 そしてその次、「オープンイノベーションの推進」。毎度お馴染みのスタートアップ企業に対する投資促進税制に、「日本企業の企業文化を変革するきっかけとして、政府では、新興国企業との連携による新事業創出を『アジアDXプロジェクト』として推進」だそうだ。「企業文化を変革」というが、なぜその必要があるのか。またそれがこのアジアDXプロジェクトとどう関係があるのか?