民事再生手続き中のレナウンが、7月30日に100人弱を整理解雇したことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。8月末にも追加で数十人の整理解雇を実施する模様だ。主要ブランド以外の撤退も進める。6月に希望退職者を募集したものの予定人員に未達。人件費の高さに耐えかね、ついに整理解雇に踏み切ったようだ。スポンサー探しは難航しており、かつてのアパレルの雄の再建のめどは立たないままだ。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
300人の希望退職者の枠に
応募したのはたった200人
「明日から無職です。本当にどうしたらいいですかね……」
あるレナウンの中堅社員は力なくそう言った。
民事再生手続き中の老舗アパレル・レナウンが、7月30日に100人弱の整理解雇に踏み切ったことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。8月末にはさらに数十人の整理解雇を追加で実施するという。
レナウンは5月15日に民事再生法を申請。同月28日には300人の希望退職者の募集を行うと発表した。
「管財人が『どうしてこんなに固定費が高いんだ』と驚いたほど、うちの人件費は高いんです」とレナウンの元社員は打ち明ける。そのため、民事再生にあたってまず初めに手を付けたのが人員整理だった。
希望退職の募集期間は6月4日から11日。ところが、当初予定の300人にはまったく届かず、結局6月25日に退職したのはわずか200人弱となった。
理由の一つには、レナウンにベテラン社員が多く、コロナ禍の影響でアパレル転職市場が非常に低調であったため、退職に消極的な社員が多かったことがある。また、希望退職者への退職金の加算も特になかった。
もう一つの理由は、一部ブランドの事業は継続させるという見込みがあったため、ここで辞めてはいけないと考えた人がいたからだ。
その結果が、希望退職者の大幅な定員割れとなって表れた。