なぜグランパスだけで感染者が確認されるのか。市中感染が拡大している、と指摘されている名古屋市内の状況と相関関係はあるのか。グランパス内でクラスターが発生しているのではないか。こうした問いに、新型コロナウイルス対策連絡会議に招聘されている専門家チームのメンバーで、今回の中止に至る対応にもあたった愛知医科大学大学院の三鴨廣繁教授(臨床感染症学)はこう語る。

「クラスターではありません。私の目から見ても、感染防止策に対して真摯に取り組んでいました」

 それでも感染者が広がる事実に、感染経路が不明な点を含めて脅威が増す。ただ、不安だからという理由で公式戦延期を認めてしまえば、グランパスに対する批判を助長しかねない。実際、すでにネット上ではグランパスに対する心ない言葉や、あるいは誹謗中傷の類いも飛び交っている。

 J2のアビスパ福岡も27日に、発熱などの症状を訴えたチームスタッフ1人からPCR検査で陽性反応が出ている。他のスタッフや選手たちは緊急のPCR検査を介して陰性が確認されたが、グランパスに限らず、すべてのクラブが感染へのリスクに直面していることが浮き彫りになった。

 グランパスは週末のレイソル戦へ向けて、28日から練習を再開させた。しかし、選手寮に住む6人の若手選手は陰性が確認されているものの、万が一の場合を考えて練習参加が見送られた。29日に2度目の大規模PCR検査を、31日にはJリーグによる第4回公式PCR検査を受けて万全を期す。100人を対象とした29日の検査では、一夜明けた30日に全員の陰性が確認された。

 専門家チームの助言を受けた上で、Jリーグは再開および開幕へ向けて「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」を策定している。微に入り細をうがった内容と表現してもいい70ページ超のガイドラインを、ファン・サポーターを含めたサッカーに関わる全員が遵守し、状況によっては臨機応変に運用を変えながら、見えざる敵によってもたらされる脅威を一丸になって乗り越えていくしかない。