失敗を重ねる
文大統領

 ボルトン氏が言うように、文大統領ほど言動の一致しない大統領も珍しい。

 2019年も、トランプ大統領と金正恩書記長の仲介をして、米朝首脳会談をおぜん立てしようとしたはいいが、トランプ大統領には「北朝鮮は核放棄しそうだ」と伝え、金正恩書記長には「核放棄しなくても大丈夫そうだ」と言ったと一部メディアで報じられている。それが事実なら文大統領は、言動の不一致で米朝首脳会談を崩壊させた張本人だろう。

 トランプ大統領は、その後、文大統領に冷淡になっていく。外交でも韓国の立場をあまり斟酌(しんしゃく)しなくなっていったのは、そのトップである文大統領に幻滅したからだったのではないだろうか。

 2019年に訪米した際のトランプ大統領との記者会見でも、記者の質問にまともに答えられない、同年のマレーシア訪問ではインドネシア語の挨拶をするなど、いくつもの失敗を重ねている。

 単に失敗が多いだけでなく、記者会見中に居眠りをする、あみだくじがまともにできない、果てには自分の名前を間違えるなどの問題行動から、認知症の噂も根強く語られている。文大統領が認知症なのではないかという噂は大統領選前から持ち上がっていて、文陣営は訴訟をちらつかせて強引に火消しをした過去もある。

 文大統領が認知症かどうかはともかく、その言動の不一致ぶりは実はかなり深刻なレベルにあり、韓国の内政や外交に暗い影を落とし続けていることは間違いない。

徴用工問題でも
日韓で二枚舌

 今回のテーマである徴用工問題についても、文大統領は2017年8月17日の会見では徴用工裁判において日本企業の賠償責任を認めた判決を支持しておきながら、同月25日の安倍首相との電話会談では「賠償問題は日韓基本条約で解決済みだ」と発言している。

 つまり、韓国国民には「日本企業が賠償すべきだ」と言い、日本の首相には「韓国政府が賠償すべきだ」と、典型的な二枚舌を使っているのである。

 日本から見れば、単なる嘘つきに見えても仕方がないが、無意識にやっている可能性もある。というのは、文大統領はその場その場で相手によって意見がコロコロ変わり、過去に言ったことを忘れる傾向があるからだ。そうなると、自分の立場や国益を守る意識なしで、韓国世論で最も声の大きな意見に合わせているだけなのかもしれない。

 ただし、徴用工訴訟で日本企業に賠償を求める判決が出たのは、明らかに文大統領が仕組んだものだ。というのは、文大統領は政権発足後、司法や軍などの主な役職で、保守派を次々とパージして、その多くを革新派にすげ替えている。判決が現実に即したものでなく、左翼的イデオロギーに沿ったものになるのは当然だろう。

国民的英雄を
ないがしろに

 今年7月10日、朝鮮戦争の英雄、白善燁(ペク・ソンヨプ)元陸軍大将が99歳で亡くなった。韓国国内はもちろん、日米にも尊敬する者が少なくない国民的英雄と言ってよい人物だ(「朝鮮戦争で追い詰められた釜山を死守した」と言えば、その業績はわかるだろう)。