本書で紹介する「絶滅できない動物たち」

#1 キハンシヒキガエル【野生絶滅種】
タンザニア・キハンシ渓谷にのみ生息していた小さな黄色いカエルは、経済成長と環境保護のあいだで板挟みとなり野生絶滅した。現在、アメリカの2つの動物園から元の環境に戻す取り組みが懸命に行われている。飼育下繁殖された生きものは「野生」に戻れるのだろうか?

#2 フロリダパンサー【絶滅危惧種】
大きく数を減らし、遺伝的多様性が失われつつあったこのピューマの亜種は、人間が放った別種のピューマと交雑することでかろうじて生き延びている。異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは、元と同じなのだろうか?

フロリダパンサー(『絶滅できない動物たち』より)フロリダパンサー

#3 ホワイトサンズ・パプフィッシュ【絶滅危惧種】
メダカの類縁の淡水魚であるこの魚は、人工の池を含むアメリカの4ヵ所にだけ生息している。わずか30年で別種へと進化したこの種は、新しい種として保護すべきなのか。

#4 タイセイヨウセミクジラ【絶滅危惧種】
1970年代に再発見されたこの謎多きクジラは、果たして人間には本当に自然を保護する能力があるのか、問いかけている。

#5 ハワイガラス【野生絶滅種】
かつてハワイ諸島の森を飛び交っていたこの「聖なるカラス」は、もはや人間の飼育下でしか生息できない。枝を使ってエサを探すなどの「文化」は、冷凍保存された遺伝子から再生できるのだろうか。

『絶滅できない動物たち』本書のカバーを飾っているキタシロサイこそ、最後の雄であるスーダンだ本書のカバーを飾っているキタシロサイこそ、最後の雄であるスーダンだ

#6 キタシロサイ【野生絶滅種】
密猟から守るため、武装した警備員がつきっきりで「保護」していたものの、キタシロサイ最後の雄(名前はスーダン)は、残念ながら2018年3月19日に安楽死した。残された彼の精子は、iPS細胞やゲノム編集などのテクノロジーによって、種の復活に寄与するだろうか。

#7 リョコウバト【絶滅種】
50億羽はいたというリョコウバトは、人間が原因でたった100年で絶滅した。今、絶滅させた張本人である人間によってDNAから「復元」されようとしている。

#8 ネアンデルタール人【絶滅種】
わたしたち人間の近い親戚であるネアンデルタール人の「復活計画」をご存じだろうか。バイオテクノロジーの発展により、もはやこの計画はSFの世界の話ではない。