コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
19万部を突破した『ストレスフリー超大全』で、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー(この記事は2020年8月10日付け記事を再構成したものです)
なぜ、悪意を向けてくるのか?
自分の優位性をアピールする行為「マウンティング」という言葉が日常的に使われるようになりました。
マウンティングとは、本来、動物が自分の優位性を表すために相手に対して馬乗りになる行為を指します。それが転じて人間関係において「自分のほうが優位」とアピールすることが、マウンティングと呼ばれます。
「女子の本音」についてのある調査によると、マウンティングされた経験がある女子は84.3%にも及ぶそうです。わかりやすく「嫌み」を言ってくる、「悪意を向けてくる人」が相当に多いのでしょう。
あなたに悪意を向けたり、あなたを攻撃したりする人は、何をしたいのでしょうか。
何かを自慢したり、あるいはあなたを貶めたりする人は、「劣等感」の強い人です。相手を貶めることで、自分の優位性を確認したり、優越感を持ちたいのです。
優越感を持ちたければ、自己成長して何かを達成すればいいのに、その努力を怠り、あたかも自分が優れているかのように振る舞い、偽りの優越感にひたる。これを「優越コンプレックス」と呼びます。
それが、あなたに「悪意を向ける人たち」の正体です。ですから、あなたに「悪意を向ける人」や「マウンティングしてくる人」を見たら、劣等感が強く「優越コンプレックス」を抱いている残念な人だな、と思えばいいのです。正体がわかれば、気分も楽になるし、冷静に対応できるでしょう。
「優越コンプレックス」を真に受けて対応することは、程度の低い競争に参加することであり、「残念な人」の仲間入りをしてしまいます。「真に受けない」「相手にしない」という対応が一番です。
スルーこそが最大の復讐
人から悪意を向けられた場合、「スルーする」というのが、最も良い対処法です。「スルーする」というのは、「受け流す」「相手にしない」「無視する」「何のリアクションもとらない」「反論もしないし、怒りもしない」ということです。
「嫌がらせをする人」「悪意を向けてくる人」は、愉快犯です。あなたがつらい表情を見せたり、落ち込んだり、悲しんだりするほど喜びます。そして、嫌がらせは、さらにエスカレートします。
私の場合、マウンティングなどの攻撃を受けた場合は、「へぇ」と軽く受け流すようにしています。肯定も否定もせず「へぇ」です。言語的には「中立」ですが、非言語的に「ノー」を伝えるのです。
すると、相手はつまらなくなって、立ち去ります。マウンティングする人は、「優越感」を満たしたいだけなので、「優越感」が満たされないとつまらないのです。
重要なのは、言語的に反論しないことです。嫌みに対して、嫌みで反撃しないことです。マウンティングする人にとっては、「プライド」がとても大切です。その面目を潰されると、自己の尊厳に関わり、猛烈に反論・反撃してきます。「軽く流す」「するりとかわす」のがコツです。
ネットの嫌がらせの書き込みも同様です。SNSなどで、明らかな嫌がらせの書き込みをしてくる人がいます。その場合、絶対に返信や反論をしてはいけません。完全に無視し、相手にしないことです。
ネットの嫌がらせをする人の実体は、「かまってちゃん」です。反論されると「水を得た魚」のように生き生きとしてきます。かまってくれるのが嬉しいのです。そして相手が迷惑したり、困惑するのが嬉しくてしょうがありません。
特に、メンタル的に弱い人は、SNSのアプリを消したりし、ログインしないという方法もあります。1週間以上「無視」し続けると敵はスッと消えていきます。
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。
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