生き方に迷う「若者たち」を圧倒的に肯定し、徹底的に挑発する、仕事論の新しいバイブルが誕生した。国内最大のシードファンド(300億円)を運営する、36歳、若手NO.1ベンチャーキャピタリスト・佐俣アンリのデビュー著作『僕は君の「熱」に投資しよう――ベンチャーキャピタリストが挑発する7日間の特別講義』だ。
 この本を読んだことがきっかけとなり、新時代のSONY、次のメルカリ、そして、今は誰も想像すらできない「未来の会社」が生まれるかもしれない。
 対象は起業を目指す人だけではない。スポーツでもアートでも、趣味でも社会活動でも、もちろん目の前の仕事にでも、「熱」をもってチャレンジするすべての人に向け、その熱を100%ぶつけて生きてほしいという願いを込めて本書は書かれた。
 ノウハウ本でも成功本でもなく、ただ「熱」をもつ人の暴走本能を刺激する本だ。
「熱を抱えた投資家として、たくさんの熱を見て、応援して、大成功も大失敗も見てきた自分がいまわかることをすべて詰め込んだ」と著者が語る本書のなかから、この連載では特に熱い部分を紹介していきたい。第2回は、熱をもつ人たちに贈る「起業のアジト」への招待状!

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君はどっちのフラフラを選ぶ?

 僕の会社、ANRIのオフィスは表参道と渋谷のちょうど中間にある。駅からは少し遠い、雑居ビルが建ち並ぶエリアだ。

 インスタ映えするスイーツを売りにするカフェや人気ファッションブランドショップとは縁遠い場所で、近くをウロついているのは、ランチ目当てのオフィスワーカーくらいしかいない。

 ビルの1階にはサンドイッチが売りのカフェが入っているから、食事場所を探してこのあたりをフラフラしてる人がふらっと入ってきても不思議はない。でも実際に僕のオフィスにフラフラと入ってくるのは、

「1日カップラーメン1個で生きてます。今月の中旬でお金がなくなりますけど、名古屋から出てきました。今は高校を休学してアプリつくってます」

 なんてやつばかりだ。

 こっちは栄養が足りてなくて本当にフラフラしてるんだ。

 ひょろっとしてて、どこにでもいそうな若者だけど、死んでもプロダクトつくりたいって顔をしている。

 こいつの命を削ってる“熱”はなんだ?

 ここはただのオフィスなんかじゃない。やり場のない強い熱を持った起業家のたまり場だ。人生を、自分の熱だけにかけているやつ、熱に振り回されて暴走してるやつらだけが集まる、「アジト」なんだ。

 君もこれまでの人生で、自分の熱にやられているやつに何人か出会ってきただろう。高校で同じクラスにいるのに、自分の将来をすでに決めて、どこか遠くを見ているようなやつがそうだ。

 君はいつも、自分の目標に100%の熱をぶつけられる人間たちに気後れしてきたかもしれない。そして自分も、人知れず探してきたんだ。自分の熱源を。行き場のない熱の矛先(ほこさき)を。

 今も、いつかはそれが見つかるだろうなんて思っている。

 でもそれっていつだ? なかなか決まりそうもないじゃないか。なんとなくまわりに合わせて、聞こえの良い企業に就職しようとか思ってたりしてさ。

 なんなら今ここで決めてみないか?

 才能が人を起業家にするんじゃない。行き場のない妄想でもなんでもいい、熱が人を起業家にするんだ。起業というのは、熱でできているんだ。

 べつに起業しろって言いたいわけじゃない。起業に向いていない人だって大勢いるし、起業家が偉いわけでもない。アートでも、社会活動でも、スポーツでもなんでも、君の熱が存分に発揮されればそれでいい。若く強い熱を持っていて、それを発揮しようとしている君が何かを実現するということが、君にとってもっとも大切だ。

 そうだろ?

 僕はそうした熱にしか興味がないんだ。ひとりの人間の強烈な熱が、本当に社会を変えるのをこの目で何度も見てきたから。

 君が人生で何かをしでかす人間になりたいと思うなら、まずは自分の熱源に気づくことだ。このアジトにいるのは起業家たちだが、みんなその熱源を見つけた結果、起業を選んでいる。そうしたやり場のない熱を事業にぶつけて、言ってみれば全員で人生の暴走をしているんだ。

 この街で「一日で唯一の楽しみ」なんて言って、ランチタイムにフラフラしているか、コントロールできない自分の熱に振り回されてフラフラになるか。

 君はどっちのフラフラがいい?

 後者を選ぶなら、このアジトのドアをノックしてくれ。運が良ければ僕が話を聞こう。

 ただ、覚えておいてほしいのは、このドアは誰にでもオープンなコワーキングスペースなんかのドアとはちょっと違うということだ。

 まず、ちゃんとカギがかかっている。このアジトのドアは、熱を持っていないと開かない仕組みになっているんだ。その熱を測るのが僕の投資家としての最初の仕事だ。入れなかったら、入り口にあるカフェでチリコンカンのホットサンドとコーヒーでも買って帰ってくれ。ちょっと歩けばこの街には、他にも楽しいところがたくさんある。

 僕の「体温計」は意外と正確だ。なぜなら僕自身が、熱をもてあます若者を地で行き、そのまま投資家になった人間だから。そして今日も、宇宙のはじまりみたいに熱くて危うい人間に会いたくて、この仕事をしている。