これまでの米大統領候補のテレビ討論会は、1960年に討論会に臨んだリチャード・ニクソン氏以降、自由世界の未来のリーダーとなる人々に冷や汗をかかせてきた。バラク・オバマ氏は2008年と2012年の選挙で、共和党の対立候補と1対1の討論を計6回行った。しかし、ジョー・バイデン氏は現在、世論調査でドナルド・トランプ大統領をリードしており、一方で言葉がうまく出てこないことで知られている。そのため、テレビ討論会をまるで時代遅れの舞台のように扱うことになりそうだ。大統領討論委員会は、9月29日を初回として計3回、バイデン氏とトランプ氏のテレビ討論会を計画していた。しかし、バイデン氏が討論会を回避すること、つまり直接対決をキャンセルすることが、特定の方面で支持されている。特定の方面とは、はっきり言うとニューヨーク・タイムズだ。そうした主張の直近の例としては、リベラル派のジャーナリスト、エリザベス・ドリュー氏による意見記事が挙げられる。同氏は1976の討論会でパネリストを務めた。彼女は「とっさの上手な切り返しや、気の利いた短い言い回し」が得点になるといった理由から、「これまでの討論会は、大統領の指導力を検証する場としての意味が全くなかった」と主張した。