いまだ終息の見通しもたたない新型コロナ禍は、世界規模で多くの人を不安や苦境に陥れ、経済を破綻させつつある。しかし、人類はこれまで、感染症のパンデミックを何度も経験している。そのたびに先人たちは大きな犠牲を払いながら乗り越えてきた。歴史は常に繰り返している。過去をひもとけば対応策も見つかるのではないだろうか。前回に続き今回も、わかりやすい解説で定評のある歴史研究家・河合敦氏の新刊『繰り返す日本史』(青春出版社)から、昔から日本人が重んじている「団結力」「合議制」の歴史について解説していく。
団結を重んじる一方、他人の自由を許さない日本人
2019年の流行語大賞は「ONE TEAM(ワンチーム)」だった。アジア初開催のラグビー・ワールドカップ日本大会―そこで日本代表チームが掲げたスローガンだ。ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ氏が考案した言葉だというが、日本代表はまさに「ONE TEAM」になって見事、史上初のベスト8を勝ち取った。その間、多くの感動を私たちに与え、国内におけるラグビーの地位を不動のものにした。
日本人は今も「皆で力を合わせてがんばろう、団結して一つになり目標を達成しよう」という傾向が、他の国よりかなり強い気がする。そのためには、個人の犠牲や自由の制限もある程度やむをえないと考える人も多いのではないだろうか。