これはぜひ読まねばと思う新刊本が届くことはそうあることではないが、来月発売予定のモーガン・ハウゼル著「The Psychology of Money」(仮題:お金の心理学)は一刻も早く読みたかった。気軽に読める本書のテーマは投資ではなく、投資についての考え方だ。ここ数年に出版された最良かつ最も独創的なファイナンスに関する本のひとつである。36歳のハウゼル氏はブロガーでベンチャーキャピタリスト。お金はそもそも価値の蓄積ではなく、希望と不安、夢と悲しみ、自信と驚き、ねたみと後悔といった感情とエゴを運ぶパイプであるという重要な真実を見事に、気のきいた文章で記している。本書はハウゼル氏自身が目撃したショッキングなエピソードから始まる。テクノロジー業界で財を成した富豪がホテルのボーイに数千ドルの現金を渡して、近くの宝石店に金貨を買いに行かせた。富豪は「面白い」という理由だけで、1枚約1000ドル(約10万6000円)の金貨を、平たい石で水切りするように1枚ずつ太平洋に投げ入れた。