145年の歴史を持つ東芝。アクティビスト投資家(物言う株主)が提案した取締役選任案は否決されたが、まだ前向きな展開が控えており、東芝はもっと魅力的でスリムな企業に変身する可能性もある。東芝株の10%を保有する筆頭株主で旧村上ファンド出身者が運営するエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(本社シンガポール)は先月、東芝に3人の取締役の選任を求めたが、ぎりぎりのところで否決された。これは、過去10年間に不正会計や経営危機などで窮地に陥った東芝という老舗企業にとって、コーポレートガバナンス(企業統治)改革の停滞にほかならない。だが、東芝にはゆっくりとだが混迷状態から抜け出そうとしている気配がある。同社は3年前、米国の原子力子会社ウエスチングハウス(WH)で原発建設コストが想定外に膨らんだため、63億ドル(約6740億円)の損失を計上し、上場廃止の危機に陥った。最終的に、多数のヘッジファンドから総額53億ドルの資金注入を受け、半導体メモリー子会社の株式の大半を売却して危機を脱したが、東芝株は東証2部に降格。これを受けて主要株価指数である日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄からも外された。