努力が徒労で終わらないために正しい知識を!

 クリニックで女性たちにこれまでどうやって対処してきたかを尋ねるとこんな答えが返ってくることがあります。

「子宮をあたためればよくなると書いてあった」
「この食材を食べれば妊娠しやすくなると読んだ」……。

 ちまたにはこんなにたくさんの間違った情報があるのか! と驚いています。

「よくいわれている方法ですけど、まったく根拠がないんですよ」

 と私が「ほんとうのこと」を伝えたときの、女性たちの落胆した顔。当然ですよね、いままで努力してきたことが徒労でしかなかったとわかれば、平静でいられません。

 本書では、私の耳に入ってきている、間違った情報も踏まえて書いています。

 今日からぜひ、そうした間違った情報をアンインストールし、正しい知識をインストールしてください。

自分の身体のことは自分で決める!

 また、私がクリニックを開業したときに掲げたもうひとつの目標に、「女性の主体的なリプロダクティブヘルス・ライツを守りたい」というものがあります。「リプロダクティブヘルス・ライツ」とは「性と生殖に関する健康・権利」のこと。女性の身体は生殖ができるように作られています。それは誰もが生殖をしなければならないという意味ではなく、子どもを産む、産まない、いつ産む、何人産むなど妊娠出産に関することはすべて、誰からの干渉もなく女性自身が決めていいという意味です。

 そして、女性の健康を管理するのはほかならぬ自分自身であるということでもあります。たしかに女性の身体は面倒なことも多いです。しかしそれを解消する手立てはあります。もう間違った情報や、「女性の身体はこうあるべき」といった押し付けに惑わされたりしなくていいのです。

 選ぶのは自分。守るのも自分。本書が、みなさんの大切な身体を守る「自分自身の取扱説明書」を作るときに役立ってくれることを願います。