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日本では、おおむね15年ごとに新しい価値観を持った世代があらわれてきている。たとえば団塊世代、バブル世代、ゆとり世代などが挙げられるが、世代によって意識、行動、特に消費行動にどのような違いがあるのだろうか。「コロナが加速する格差消費 分断される階層の真実」(朝日新聞出版)から抜粋して、平成生まれの衣服に関する価値観の変化を考察する。

年収が高くても古着を買う

 平成世代は、現在20~31歳と若く学生も含まれていることなどから、バブル世代である親から見ると無欲でさとりを開いているように見えるため、「さとり世代、ゆとり世代」とも言われる。彼らには欲しいモノはあっても、中古品を買う人が増えたり、ネットで買う人が増えたりしたので、新品を既存の業態の店舗で買う人が減ったことは言うまでもない。

 新品にこだわらない中古志向はファッションにも言える。欲しい衣料品があったとしても新品ではなく、メルカリやオークションで買える時代である。「衣類をオークションや古着屋、フリマアプリ(メルカリなど)などで買う」人は平成女性では17%、氷河期女性では16%だが、バブル女性では12%である。やはりバブル女性は中古への抵抗が強いのであろう。

 私が古着に注目したのは1998年から2001年ごろだが、そのころマーケティング調査をして、若者は古着が好きですとリポートしても、企業側は、今ちょっと景気が悪いからでしょ、景気が良くなれば古着は買わなくなるでしょ、という反応であった。そう反応したのはバブル世代である。

 だが、古着好きの若者を調査すると、お金がないから古着を着ているのではなく、古着がオシャレだから、カワイイから着ているということがわかった。同じ大量生産品の同じ柄の服でも古着になると、色のかすれ方、生地の崩れ方などが一点一点違って味が出てくる。世界にただ一つの個性になる。それを若者は楽しんでいるということがインタビューをすればわかるのだ。

 こういう時代から20年も経ち、今の高校生から見れば、お父さんもお母さんも古着を着ている時代である。だから、もしかすると今の若者も、衣類への支出は減少していたとしても購入数量は減っていない可能性がある。

 私も東京・高円寺の古着屋で19年に、ジョルジオ・アルマーニのワイシャツを1000円で買った。まったくいたんでいないのにこの安さ。新品なら数万円だっただろう。こういう掘り出し物を見つける喜びも古着ならではなのだ。

 そしてある日、そのアルマーニを着て、腕には中野ブロードウェイの中古時計屋で買った高級腕時計をはめて、私は某旧財閥系一流企業でのプレゼンテーションの場に向かった。そしてこれは1000円で買った古着だと言って、現代の消費動向を語ったのだ。

 嫌味かなあ。でも、そういう時代だよということを身をもって示したかったのですね。