産後うつの女性高齢出産の女性の場合、産後うつなどで更年期に苦しむケースが少なくありません(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「高齢出産すると、更年期が楽になる」
――昔はこんな都市伝説も

「40歳を超えて出産したら、更年期が楽になるらしい」――こんな話を聞いたことはないだろうか。

 私は現在51歳。30代後半あたりから、「高齢出産をすると更年期が楽」という話をよく耳にするようになったと記憶している。むろん、これは医師から告げられた話でもなんでもない。友人同士のたわいもない会話で出る類いの、根拠のないうわさ話。つまりは単なる都市伝説、いや流言飛語だといえるだろう。

 なぜいまになってそんな話を思い出したのか。それには理由がある。

 先日、更年期関連の勉強会に出席した。その日のテーマは「女性のライフステージにおける体とこころの変化。出産から更年期まで」で、講師は帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科の河端惠美子教授だ。

 この場で多くの知識と情報を得たのだが、特に私が気にかかったのは「高齢出産と産後うつ」についてである。

 ここ数年メディアで取り上げられることが多くなった、産後うつ。特に高齢出産の場合には症状が出やすい傾向にあるという河端教授の話を聞きながら、私は自分がかつて耳にした話がやはりまったくのデマだったと確信した。

 高齢出産と産後うつには、いったいどんな関連性があるのか。勉強会の講師であった河端教授に改めて話を聞いてみることにした。なお、日本産科婦人科学会は、高齢出産とは“35歳以上の初産婦”と定義している。初産だけに限定するのではなく、一般的に使用されている“35歳以上の出産”を高齢出産とするならば、厚生労働省の「人口動態統計」では、平成29年には出産した女性の実に3割強が高齢出産だ。

出産後の女性の体はどうなっている?

 出産後の女性の体はどういう状態になっているのか――。河端教授に尋ねてみた。

「分娩後の女性の体は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が胎盤の娩出とともにほぼゼロになり、出産後に月経が再開するまでは、卵巣が機能していない状態に。これにより一時的に閉経後の女性と同じような状態になります。高齢出産でもそうでなくとも、分娩後にはすべての女性が同じ状態になります」